「……だって、“家族”を否定されたから」


怒りと悔しさに堪えるように俯いて、膝の上に乗せた手を、固く握り締める。
切ったばかりの爪の角が、手の平に食い込んだ。



そんな瑞姫の頭上で、小さな溜め息が聞こえた。



「阿保」
「痛っ。また叩く……ていうか何で今叩かれたの私」
「家族否定されたって、瑞姫さ……はぁ」


大袈裟に溜め息をつかれて、瑞姫は膨れっ面になった。
珍しい透の呆れ顔は未だ続行中だ。