「端的に言うと、クラスの女子に500ミリリットル入りのペットボトルの水を掛けられそうになって、ムカついたからサボろうと思ったら先生に帰宅させられた」
「端的って言った割に長かったな。……というより、あの噂は本当だったのか」
意外なことに大したリアクションもなく、いつも通りの淡々とした無表情のまま、透が呟くように言う。
その言葉に、瑞姫は首を傾げた。
「……噂?」
「2組の付き合い悪い黒瀬瑞姫が、同じクラスの学年のアイドルにマジギレした、って噂。水掛けられた原因それだろ?」
「学年のアイドル……ああ、飯島のことか」
噂になってたんだ、と呟いた瑞姫に、透は珍しく僅かに呆れた表情になった。


