「だ、誰よ今の……こっわー」



場の空気を執り成すように、元凶とも言える真奈が大袈裟に声を上げる。

しかし、1度聞こえてしまった言葉は忘れられない。



「でも……確かにそうだよな」「消えちゃえばいいのにねー」「目障りだし」「ウザいし」「偉そうだし」「ムカつく」

「じゃあ、私達で消しちゃわない? 学校からさ」



集団心理だろうか。
何を言っても許される。
何をやっても許される。

対象が自分でないなら、自分の気に食わない人間なら、どうなってもいい。
どうせ、やるのは自分1人ではないのだから。


誰かが零した悪意の塊は、空気に溶け、毒のように思考を侵す。