苦笑でも嘲笑でも、その顔が生き生きとしているから、表向きの笑顔よりはずっと『表情』らしい、と瑞姫は思う。 本当の笑顔を透が浮かべるのは稀で、その顔を見たことのある瑞姫が表向きの表情に違和感を感じるのは、当たり前の話でもあった。 「うん。やっぱり有りのままの透が好きかな」 「……唐突に何を言うんだか」 そう、その苦笑の方が、何倍も生き生きとしてる。 「くだらない話はいいから。俺、着替えて来る」 「あ、忘れてた。何か用あった?」 そういえば、何故透は部屋に入って来たのだろう。