那央に抱きしめられている。 現状を理解し、軽いパニックに陥りかけた。 「ちょっ……何する、」 「学校、お疲れ様」 耳元で甘やかな声で囁かれ、多少の耐性を備えていた瑞姫も、流石に赤面した。 一瞬力を込めた腕を解かれ、その場にへたりこむ。 ……毎度毎度、同じ反応をする自分が憎い。 「こんの馬鹿兄……ッ!」 くすくすと笑って、那央は部屋を出て行った。