瑞姫は掛け布団から抜け出して、ベッドに腰掛けた。
勉強机から椅子を引っ張ってきて座った那央に、目を見張る。


「あれ、珍しい」
「え?」
「那央兄、いつもなら隣に座るのに」


いつもなら思春期女子の気持ちなんて全部無視して隣にくるのに、とその気遣いが少しだけ寂しい。


「いや、でも、」
「らしくない。私、那央兄なら平気だよ」


そこまで言って、ようやく那央の表情が綻んだ。
いつも通り、とは言わないが、優しくて少し意地の悪い笑顔。


「そこまで言うと、俺に隣に座って欲しいみたいに聞こえるぞ?」
「うわ、酷い。そこでそう来るの?」


さらっと流した瑞姫の隣に、腰掛けた。
いつも通りの距離で。