「……昔は素直でいい子だったのに」 「兄さんも昔は若かった」 「え、俺まだ大学生。まだギリギリ未成年だよ?」 「発言が」 思わず、と言った風に零した那央をじと目で見つつ、「俺、明日も学校なんだけど」と呟いてみせた。 「ああ、明日は雪らしいね」 「今関係ないだろ……」 何故こうも話を逸らそうとするのだろう。 たまに思う。 普段は強い義兄が、自分達を救ってくれた義兄が、余りある優しさで自分達を包み込もうとする義兄が。 本当は酷く臆病なんじゃないかと、そう思うのだ。