「瑞姫のこと?」 だから、先手を打つ。 いくら自分達を地獄の淵から拾い上げてくれた義兄にでも、瑞姫から口止めされたことは言わない。 言わないし、言いたくない。 「……ああ。瑞姫、最近おかしいからね。何かあった?」 「兄さんは?」 「……ん?」 「兄さんは、どう思っている?」 『何かあった』じゃなくてきっと、『何があった』と問うべきだった。 那央は確実に、何かがあったことには気付いているのだ。 でないと、今ここで透の睡眠を妨害する理由がない。