振り返らずに走る。
風が、ワンピースの中に入りあたしの体をすり抜けていく。
あたしはどこに向かうつもりなんだろう。
旬に会いに行けば、あたしはきっとその優しさに甘えてしまうだろう……。
旬が好きなら、告白を受け入れてしまえばいい。
でも、なぜか今はいけない気がした。
ほんの数分前……
あたしは要の事で頭がいっぱいだった。
要の仕草ひとつひとつに、ドキドキして、胸が苦しくなった。
なのに……なんで?
今は、こんなに要が嫌でたまんない。
旬……。
あたしにはあなたに好きになってもらう資格はどこにもないよ……。



