ドキン

ドキン

な、なによ……どうせ、貧弱よぉ!

もう涙目のあたし。
真っ暗なのに、余計に視界を濁す。


「……見てねぇよ。湯気凄かったし」


少し首を傾げるように、あたしの顔を覗き込む要。

もう頭から湯気がでそうなほど顔は真っ赤だろう。
血の気のなかった頭に、今度はドクンって一気に逆流する血液に今にも気を失いそうだ。

何も言えないでいるあたしに、要はふんと鼻で笑うと悪戯な笑みを浮かべた。





「そんなに嫌? 俺に見られるの」



もう、目はしっかり暗い部屋に対応して、要の表情をクリアにうつしてる。



「い、いやに決まってんでしょ!だってこんなのかっこ悪……」



そう言いかけたあたしの言葉は、どこかへ飛んで行ってしまった。



もう、瞬きも忘れてる。





なに?


…………これ。


ドクンっ








要は、まだ濡れたあたしの髪にそっと触れると
そのまま口付けをした。