「未央、今日大丈夫? もし、なんかあったら電話しなね?」



あたしは、早苗と並んで校門を出たところだった。
早苗はあたしの顔を心配そうに覗き込んだ。


「うん、平気。 でも、この事内緒にしててね?」


あたしはそう言うと、ピースサインを作って見せた。



「そっか。ま、がんばんなよ! 相田要との初夜!」

「あのさ、なんか勘違いしてる?」



てゆーか、早苗……「初夜」ってなんか大人な響……。




バス通学の早苗と途中で別れて、あたしは1人通いなれない道を歩く。



いつの間にか、空にはどんよりと重たい雲の絨毯。

今にも雨を落としてきそうな感じだった。



あたしは足早に先を急いだ。