あわあわと、頭の中はパニック状態。
あたしは慌ててイスを 元に戻す。



「ちょっと! ちょっと、未央」



愛美があたしをつついた。



クラスがあたしと要に注目している。



「なな、何?」

「あれ、相田要じゃん!」



驚いている愛美。
あたしは愛美が知ってる事に驚いた。



「マナ……知ってんの?」

「知ってるもなにも……超有名人だよ!
うちの学校で相田要を知らない女子なんて未央くらいじゃないの?」


結衣も、ウンウンと頷いている。


「……え?そうなの? なんの有名人?」


あたしが聞くと、マナは鼻の穴を膨らませて言った。



「もちっ! 抱かれたい男ナンバーワン!」

「はああぁ!?」



なにそれ?

あたしは呆れ顔でマナを見た。
自分のセリフに合わせて、人差し指をビシッとあたしにつきさしたマナ。

いやいや……。

だから、ナンバーワンって……え?



「未央、もしかしてあの人が例の……?」


目が点になっていたあたしに早苗がこっそり耳うちをした。

あたしはコクコクと頷いて見せた。



「呼ばれてんでしょ? 行っといでよ」

「え?……ちょっ……」



マナと結衣があたしの背中を押す。


えーっ!
いいってば!むしろ知らない人って言いたいよ!


勢いよく押されたせいで前のめりになりながら振り返ると、旬と目があった。


旬だけじゃない、クラス中があたし達の様子を伺ってる。



もう最悪!