「あたり前じゃん。 未央がいい……未央が居てくれたら、それでいいんだ」


「……誓う?」


「誓うよ。 この指輪に誓う」





今度は面白そうにあたしを眺めて、悪戯に笑うと右手の薬指にそっと口付けをした。






「要…………大好き」






そして。
あたしは穏やかな時間の中。




最高に甘い要の体温に溺れていった。













あたしは、運命とか占いとか、そんなに信じるタイプではないけど。
でも、今なら言える。





あたし達はこの世に生を受けたその瞬間から

結ばれる『運命』だったんだって。



なにがあってものこの人となら乗り越えていける。
そう思えるんだ。


そしてあたしは、いつも思い出すだろう。

甘酸っぱい、あの味を。






渡米して3ヶ月がたつ。

あたし達は相変わらずで
シカゴ郊外の気温はまだまだ寒いけれど、陽が高くなるにつれ穏やかさを増していく。




ほんの少し開けた窓からは、まだ葉のつかない木々が見える。
車通りもまだまばらで、外を歩く人々はのんびりと朝の散歩を楽しんでいるようだった。







部屋の中に滑り込む風が、白いカーテンを揺らし
その中に春の気配を感じた。











――――春は来る。





ゆっくりと
あの優しい記憶もつれて…………





fin.