「……ッ…」



もうだめだ……
ずっと我慢していた涙が頬を伝う。

一筋、二筋と頬を伝い、あたしの右手にあたたかな雫が落ちていく。




「……それさ」



要が照れくさそうに顎で指し示した先。


―――それは。





苺の指輪






「俺が作ったんだ。 ほんとはクリスマスに渡す予定だったんだけど、間に合わなかった」


「……うぅ…」


「……泣くなよ。 化粧落ちるぞ」


「だ、だってぇ……」



要は「しょーがねぇヤツ」と呆れながら笑った。
そして要はあたしの耳元へ唇を寄せると、そっと囁いた。






「向こうついたら、すぐに…………してやるから泣き止め」


「……ッ!!?」







止まりました。

……止められました。


もう体全体から湯気が出そうなくらい真っ赤。



だって……だって今、なな、なんて言ったの!?


口をパクパクさせるあたしを横目に要は相変わらず余裕たっぷりで、鼻でフンなんて笑ってる。



「……サ……サイテーーーー!!!!」



涙目のあたしを乗せて、飛行機はもっともっと空高く高度を上げていく。




これからもきっとあたしは、こうして要に振り回されていくんだろう。
でも、それでもいいかって思えてしまう。



うん。


あたしは、要が大好き。


それは、これからもきっと変わらない事で。




―――この苺の指輪に誓おう。




そして、あの頃の約束に誓おう。






もっともっと一緒にいよう。
ずっとずっと、あたしの隣にいてね?