見上げた先には、困ったように眉を下げて笑う美咲さんがいた。
「なんだか、勘違いしてるみたいだね」
「え?」
―――……勘違い?
ってなんの?
要との過去?
うんん、そんな訳ない。
だって、それは本人から聞いたんだもん。
「……」
眉間にシワをよせてうーん唸るあたしは、そこでハッとして顔をあげた。
あたしが要に対して怒ってる理由って……それだけなんだ。
あたしはただ、嫉妬してた。
初めて2人を見かけた校門の光景。
それが、あまりに鮮明でお似合いの2人がいて……
あたしの入る隙なんてどこにもなかった。
それだけ。
あたしは自分に自信がなかっただけなんだ。
勉強もスポーツも出来て、おまけに女の子にモテちゃって。
あたしとは住む世界が違う人。
そんな彼にコンプレックスを抱いていただけなんだ。
どうしよう……
あたし……要にひどいこと……
「ちょっと話せないかな」
今度は、柔らかく笑う美咲さん。
あたしの顔を覗き込んで、早苗達に「未央さん、少しだけ借りていい?」と尋ねた。
「……早苗」
「ほら、あたし達はいいから。 相田要の事ちゃーんと聞いてきな。待っててあげるから」
「……でも」
早苗があたしの肩にそっと触れた。
今日はあたしの『激励会』。
せっかくみんなが開いてくれたのに……。
「お店はいいんスか?」
そう声をあげたのは旬だった。
旬は知ってる。
要と美咲さんの事。
だから、少しキツイ口調で美咲さんを見ていた。



