みんながあえていつも通り接してくれている事が、すごく嬉しかった。
優しくされたら、あたし今にも泣いちゃいそうだもん。
いろんな事が、溢れてしまいそう。
せっかくみんなが集まってくれたんだもん、その雰囲気を壊したくなかった。
「お待たせ致しました。 本日のメインディッシュになります」
その声に体がビクリと反応し、あたしは反射的に顔を上げた。
「……」
ドキン
ドキン
ドキン
ドキン
心臓がすごい速さで加速を始めた。
まるで、あたしの体全体で鼓動を打ってるようで苦しかった。
あたしは、見上げたまま固まってしまう。
だって……
だって……。
「未央……さん?」
少しだけ眉を下げて、遠慮がちにあたしの名前を呼ぶ彼女。
彼女特有のふわふわとした空気に、あたしの心はドキマギしてさらに加速を続ける。
高い位置で丸められた髪。その後れ毛が妙に色っぽい。
白い肌。ピンク色の頬と真っ赤に熟れた綺麗な唇。
薄っすらとメイクされている大きな瞳は、あたしを捕らえて離さなかった。
「未央さんだよね? あたし……菅野……美咲です」
「……」
まさか、直接話しかけられるなんて……
震える手を押さえながら、あたしは彼女を見上げた。



