“しょうがない”


そうあたしに言ったまま、要は家に帰って来なかった。

その日の晩もきっとみんなでテーブルを囲むのは最後になるはずなのに…

でも、要は帰って来なかった。



あたしは楽しそうに笑うおじさんやおばさん、そしてパパ達と要が居ないまま夕食をとる。



「未央ちゃん、どお?美味しい?たさくん食べてね」



アメリカへ行くならと…せめて最後は日本食でっておばさんはお寿司や煮物と言うありとあらゆる和食を作ってくれた。





でも………ごめんね?


あたし、おかしいんだ。



どんなに美味しそうな食べ物も味が、わかんない。



なにも感じないの……。




あたしは目の前のお皿から、里芋をぱくっと口に放り込んだ。




「……もうすっごく美味しいです」




そう言って、にっこりと微笑んで見せた。



おばさん、ありがとう。
でも……本当にごめんなさい。



あたし……ちゃんと笑えてるかな?