そう、それは久しぶりに見る……
「…パパ……ママ!?」
何がなんだかわからない。
頭がついていかない。
あたしは半年ぶりに再会した懐かしい両親の顔を見た。
開いた口が塞がらず、呆気にとられているあたしの顔を見て、パパ達はにっこりと微笑んだ。
「未央…驚いた?その顔が見たくて帰ってくるの黙ってたのよ」
「母さんがそう言い出してな…未央を驚かせたいって…すまなかったな」
「………」
あたしの反応に満足そうなママが、まるで子供のようにペロっと舌を出した。
パパは、そんなママを見て、眉を下げて笑った。
「……うん。すっごくビックリしたよ。
でも、日本に帰ってこれたんだ。お仕事お疲れ様」
そう言って、あたしは2人にペコリと頭を下げて見せた。
よかった…
これで、自分の家に戻れる。
おじさんやおばさんとも、これで一緒に住む事もないんだ…。
それに……要とも。
同じテーブルを囲んでごはんを食べる事もないんだ……
一緒にテレビを観ることも…歯を磨く時鉢合わせになることも………
だるそうに新聞眺めて、あくびする要も……
寝癖がついた髪をくしゃくしゃって撫でてる姿も……
おやすみのキスも………
――……もう
「未央?」
「え?……あ…」
あたしの瞳から、いつの間にか溢れ出した涙。
「へへ、久しぶりに会ったから……つい」
そう言って、慌てて袖で涙を拭った。
あたり前と思っていた毎日の光景が、急に特別な物に変わってしまった。
「……ふ…っく…ウック…」
「未央…」
「未央ちゃん…」
拭いても拭いても溢れ出すあたしの涙『想い』
あたしは両手で顔を覆った。
……要………どうしよう……
あたし……
あたし、要の傍にもういられないよ……



