「未央!?…どうしたの?」

「…いきなりごめんね…早苗」



上着も着ないでずぶ濡れのあたしを見て、早苗は大きな瞳をさらに見開いた。









「…ハイ。ココア。…で、なにがあったの?」


着替えを持っていなかったあたしは、少し大きい早苗の服に身を包んで両手でそれを受け取った。


早苗はあたしの隣に腰を下ろすと「言ってみな?」と言うように顔を覗き込んだ。




それに答えず、あたしはただ目の前のカップの湯気をぼんやり眺めた。


ぬいぐるみや小物が多いあたしの部屋とは正反対の早苗の部屋。

必要以上の物はなにもない。


女の子の部屋…と言うよりは男の子の部屋みたいだ。




無造作に束ねた髪からシャンプーのいい香りがする。




早苗は大人っぽい。




あたしはそんな事を考えながら、熱いココアを口に含んだ。



「……要に言っちゃったんだ……1番言っちゃいけない事」


「…うん」



早苗はあたしの言葉をただ黙って聞いてくれていた。
時々うなずいて。