旬は、あたしを覗き込むように見た。



「だからなんだよ?急用だかなんだか知らないけど、お前ずっとここで待ってるだろ?
こんなに長い時間待たせて、一体どんだけ大事な用なんだよ」



「・・・・旬」




旬はそこまで言うと、ちょっとだけ顔をしかめてまた視線を足元に戻した。




「今日は帰れよ。俺、送ってくし」




旬はさっと立ち上がると、あたしを振り返った。
見上げると、眉をハの字にして笑った。



時計に目をやると、時間はもう6時を回っていた。




要・・・・


どこ行ったの?





あたしはキュッと唇を結んで重い腰を上げた。
要が行ってしまってからあたし、3時間も待ってたんだ・・・。

時間が経っていた事に驚いた。




旬は、あたしののろまな歩幅に合わせてゆっくり歩いてくれた。
時々振り返っては、優しい笑顔を向けてくれる。

気を使ってくれてるのがすごくわかった。


旬は変わってないな・・・






心の中のぽっかり開いた穴。

旬の優しさで、その隙間を埋めようとしている自分がいてすごくやだった。