「この前はどうして、あんなところに1人でいたの?」


あたしはあの日、ジンさんにお店に通された事を思い出し、恥ずかしくて手元の紅茶にまた視線をもどす。



「あ、えっと……な、なんてゆーか……散歩みたいなものです」

「……へぇ」


彼はあたしの様子を伺っていたけど、一瞬クスリと笑って、カウンターの中でチョコレートの整理を始めた。

……。


あたしは暫く、キラキラと宝石のように輝くチョコレート達と、それを一段と魅力的に並べるジンさんを見つめていた。






あたしは、ずっと喉に刺さって取れない骨のような気持ちを抱えていた。




それを、この人なら……。



答えてくれるかな……。



「あの……」

「ん?」



口の中でモゴモゴと言う、あたしの言葉を聞き分けて、ジンさんは顔を上げた。