顔面レベル100の幼なじみと同居なんてゼッタイありえません!



恐る恐る振り返ると、あの日あたしを無理やりお店に連れ込んだ男の人が「また会ったね」と微笑んで立っていた。



「今日はお店も休みだから、要はいないんだけど……」



彼は黒目が印象的な瞳であたしをまじまじと見つめて言った。



「え!?……あ、いえ……今日は別にっ」



あたふたしているあたしを見て、彼はクスリと笑った。



「ま、とりあえず中入る?」

「え!?」


あたしの前に立つと、ポケットの中から鍵を取り出した。
いくつもある鍵の中から、一番大きな鍵でドアを開けた。


「さ。どうぞ」


そう言って、さっと手を出すと、あたしを中へと招き入れた。
彼に誘導されながら、渋々誰も居ない店内へ入った。



電気もついてないお店に入った瞬間、フワッと甘い香りに包まれた。


これ、きっとこの店で売ってチョコレートの香りだ。
あたしも、前に来たとき貰ってる。



「適当に座ってて。今日はいい物出せないけど、お茶くらいはご馳走するよ」



カウンターに入ると、小さな照明をつけた。
まるで、そこだけスポットライトに照らされたようだ。


あたしは、そのカウンターに座った。