「要だ……」
進学クラスでまだ授業中のはずの要が目の前にいる。
そして、その横にいる人物にあたしは視線を逸らす事が出来なくなっていた。
だって……。
だって嘘でしょ?
要の横にいて幸せそうに微笑んでいる人……。
それは、美咲さんだった。
この寒い中、まるでそれを避けるようにお互いが寄り添って歩いている。
その姿はまるで、恋人同士だ。
あたしは、身が削られるような感情になった。
今すぐ、あの二人の前に行って、どうして一緒にいるのか問いただしたい。
あったかいはずの豚まんはいつの間にか冷めてしまっていた。
「未央?」
「……」
早苗の声であたしは我にかえった。
そして、その声に隠していた感情が次々と現れて行く気がした。



