あたしはあれから家に着くまで、何も言えなかった。



「未央もうちゃっと痩せろよな。ま、プニプニしてて気持ちいいけど」



笑ってあたしをからかう要。

その笑顔が本当にあたしが欲しい笑顔なのかわからなくなってた。



玄関のドアを開けると、心配していたおばさんが迎えてくれた。


「未央ちゃん!よかったぁ。何かあったらどうしようかと思ったわ」


ギュッと抱き締められて、その温もりを感じる。
久しぶりに感じる温もりだった。


「バカ要!あんた未央ちゃんに変な事してないでしょーね」


あたしを抱き締めたまま要を睨むおばさん。


「……してねぇよ」


要は、めんどくさそうにおばさんを見た。



プッ



要とおばさんのやり取りがおもしろくてあたしは思わず笑ってしまう。




さっきまでの、要とあたしの間に流れた冷たい空気が嘘のようだった。


「アハハ」

「なに笑ってんだよ。未央もなんとか言えよ」


要は呆れてあたしを見た。


「人のせいにしないの!」


おばさんは、すぐさま要に言った。
あたしはホッとしておばさんの豊満の胸に顔を埋めた。