その背中に近づきたくてあたしは必死に追いつこうと足を速めた。


「……いっ」


足に感じる痛みに思わず身を屈めた。


足を見ると、靴ズレを起こしてて赤く血が滲んでいた。



「未央?」



要があたしに気づいて振り返った。



「どうした」



そう言って、あたしの顔を覗き込んだ要は、あたしの足に気がついた。



「大丈夫か?」

「……うん。履きなれない靴だから。 ゆっくり歩けば平気」



あたしは、要を見上げにっこり笑った。

あたしと目が合うと、要は一瞬黙って溜息を付いた。


「……なんでそんなの履いてきてんだよ」

「?」


そして要はあたしに背を向けてしゃがんだ。


「ほら」

「へ?」

「早く乗っかれ」


要は早く背中に乗れとあたしを睨んだ。


「……えぇ!? そんなのいいよっ 大丈夫だって、このくらい」


顔を真っ赤にしてあたしは要の横を追い越した。
その瞬間、あたしは腕を掴まれていた。

要はあたしの顔を覗き込んで少し怒ったような呆れた顔をした。


「アホ。 意地はんな」

「……」



意地ってゆーかさ……。


なんてゆーか……。



あたしを見つめる要の視線から逃れる事も出来なくて、あたしは遠慮がちに要の広い背中に身を預けた。