目の前には、美味しそうにこんがりと焼きあがったトースト。

その上にたっぷりの苺ジャムを乗せる。

もう、たまんないっ

苺ジャム、大好きなんだぁ


リビングであたしと要は 朝食をとっていた。


「……」


横目でチラリと要を見る。

あたしの斜め向かい側に座る要の頬は、トーストに乗せた苺のように赤く腫れている。


ふてくされたように、トーストに手を伸ばす要。


少し日に焼けた肌でもわかるくらい赤い。
ジッとその頬を見つめていたあたしに気付いて、要は顔を上げた。

ぶつかる視線。


……ふーんだ!


あたしは思いきり、ツーンと顔を背けた。


「…………」


そんなあたしを見て、今まさにトーストをかじろうとしていた要の動きが止まる。



「未央、あのなぁ……」



なによ!
あたしは怒ってるんだからね!

あたしに抱きついといて、「アホ」って言ったんだからね!

いくら居候の身でもそれってありえないと思うもん。


要が何か言いかけた時、タイミングよくリビングに入ってきたのはおじさんだ。


「あ、おはようございまーす」


あたしはとびきりの笑顔で挨拶をする。
その変わりように、要は「はあ」と溜息をついた。


「あぁ、未央ちゃん。おはよう」


要になんか、笑ってあげないもん。
密かにそう決意して、あたしはおじさんの顔を見上げた。


あれ?


なんだか浮かない表情。


どうしたんだろう……。