「ねぇ。未央・・・」





早苗が、あたしの後ろを見てと、合図する。




「?」





あたしは、ゆっくり振り返った。






「あ・・・・・・・・・・」






・・・・・・・・・要?







って・・・・ね、寝てる!?







振り返ると、一番奥のテーブルで、要は気持ち良さそうに顔を突っ伏して眠っていた。



「あんたの、彼氏・・・こんなところで何してんの?」



早苗が、眉間にしわを寄せた。




「さ、さあ?」








朝、要とばったり洗面所で会った。
夏休みに入ってから、要はだいたい昼頃まで寝ている事が多かった。





「今日は要、早いんだね。どっか行くの?」



あたしは歯磨きを終えて、口を拭きながら聞くと、



「・・・オレ、バイトなんだわ」





眠たそうに、首の辺りを手でさすりながら『ふあ』とあくびをした。

その髪にはピョンと寝癖が付いている。






その寝癖がおかしくてあたしは、髪に触れようを背伸びをした。




「バイトなんてしてたっけ?」



「んー?」





背伸びしても届かずにあきらめたあたしを要は、じいっと見つめてる。





・・・・・・へ?





そして、手がゆっくり伸びてきたと思ったら、あたしは要の腕の中にすっぽり収まっていた。