熟れた果実みたいに、キレイな唇。

長いまつ毛に隠された、真っ直ぐな瞳。

ふわふわの真っ黒な艶のある髪。


男の子なのに、キレイな……要。



ずるい。

あたしなんかより、よっぽど色気が溢れてる。


それでいて要は、甘い香りがほんのりとする。

これ、なんて香水かな?

クラクラする。




「……」



「キスしろ」と言ったわりに、要はあたしの腕を引き寄せた。
もう片方の手は優しくあたしの耳あたりに伸びた。


要の顔がだんだんと近づく。
唇に触れるか、触れないかの微妙な位置まできて要は、その動きを止めた。



ん?



あたしはどうしていいかわからず、目をパチクリさせた。




「……目ぇ閉じねえの?」

「……あ」



要が呆れたように言った。



はっ!



そういえば、ずっと目を開けたまま要の顔見てたんだ。



あたしは、顔が赤くなるのを感じた。




「だ、だって……」




って、見惚れてたなんて、絶対言えない……。