あたしおかしいな……。
変なのかな?


いじけてる要が「かわいい」なんて。



ぷくく。

だって、ツムジ見えちゃってるし。

上から見下ろすなんて、初めてかも。
あたしよりも、ずっとずっと大きな要。

だからなの?


その、黒くて無造作にセットされてる髪に触れたいと思うなんて……。



「?」



要が、そんなあたしを不思議に思ったのか、首を捻った。



「つーかさ、男突き飛ばすなんて色気なさすぎ」

「へ?」



“色気”……ですか?


開いた口がふさがらない。
そう言って、思い出したように肩を震わせて笑っている。

「クククッ」って笑う要見てたら、急に我に返ってあたしはグーパンチをお見舞いする。



「な、なにそれ! どう言う意味よっ」

「じゃあ未央には、色気があるとでも?」



それを簡単に交わしながら、要は目を細めた。


「あ、あるもんっ!」

「へーえ。 例えば?」

「たっ……例えば? 例えばって……」


…………。


うぅッ。

見当たらない。


色気……ゼロ、かも。


がくーんとうな垂れたあたしを眺めていた要は、とうとう我慢できずに吹き出した。


「ぶはッ! 冗談だよ、そんな真剣に考えんなって」

「……うるさい」


楽しそうな要からあたしは顔を背けた。


からかわれた……。