要がお腹を空かせた狼に見える。
「ちょっ、ちょっと待ってってば!」
「お前、ちょっと黙れ」
いつまでたっても受け入れないあたしに痺れを切らした要は、眉間に深いシワを寄せた。
「は? だっ、だから……やっ、やだぁあー!」
そして。
――ガシャーン!
大きな物音と共に、体がふっと軽くなる。
「……ってぇ」
はっ!
やっちゃった!
あたしは慌てて体を起こすと、ベッドの下を覗き込んだ。
うわー。
あたし、また要の事突き飛ばしちゃったんだ。
顔を歪めて頭を擦っている要。
「……」
「要っ大丈夫? あの、えと……ご、ごめんなさい」
要は恨めしそうにあたしの顔を見上げた。
ビクンッ
「……ったく、どこにそんな力があんの?」
「……」
唇を尖らせてあたしから視線をそらした要。
あれ?
なに?
もしかして、すねてるの?