心ではそう叫んでいても、あたしはすでに要の部屋。
なぜだかとても長い間、この部屋に来ていなかった気がする。
入った瞬間に感じる、甘酸っぱいようなちょっとだけスパイスのきいた香り。
これ、なに?
アロマ……かな?
男の子の部屋なのに、すっごくいい香り。
相変わらず、きちんと片付いてる部屋。
木目調のチェストの上には、キラキラ輝くシルバーアクセサリー。
その横に、カラフルなキャンディの袋。
「……」
……好きなのかな。
なんか、以外かも。
なんて、部屋を眺めていると
「未央?」
いつの間にかベットに座った要が手招きをした。
「こっちおいで?」
そう、満面の笑顔で―――
うぅっ……。
あの笑顔、反則でしょ?
どうしていいのかわからず、取り合えず要の側へ歩み寄る。
固まった体でなんとか要の横へちょこんと腰を下ろした。
すぐ隣からは、強烈な視線を感じる。
そして――……。
要の手が、あたしの髪をすく。
耳の辺りからゆっくりと移動していくその手に、あたしの全神経は一気に集まっていく。
「…………」
「…………」
何も言わない要は、ただあたしの髪に触れてそっと口付けをした。
ビクンッ
たったそれだけなのに、敏感に反応してしまう事がすごく恥ずかしくてあたしはさらにうつむいた。
体は火がついたみたいにカッと火照る。
どど……どうしようっ!?
あたし達、本当に……しちゃうの?



