必死に涙を堪える。



「あれは……俺の意思じゃない」

「なにそれ」



ポリポリと頭を掻く要を見て、口を尖らせる。


「俺の存在忘れてたヤツが言う事かぁ?」


あたしの尖った唇を指でつまんで要が言う。


「だ!だって、みんな……キレイだし大人っぽいし、胸だってあったし、それにっ」


あたしはムキになっていった。
そんな事ほんとはどうだっていいのに。



「それに、要笑ってたじゃない……」



要の顔が涙で滲んで
溢れ出した瞬間――――



「……」




あたしの体はすっぽりと要の胸に納まっていた。

キュッと力を込めた腕はとても温かだった。

そして、少し体を離すと要はあたしの瞳を見つめた。






「未央……」





長い睫毛

薄い唇

真っ黒な髪

ちょっとだけ、顔をかしげる癖


少しかすれた低い声




全部、あたしの好きな要。







「あの約束、まだ有効?」





要のポケットから取り出されたのは――――








「…………苺……キャンディ?」