ねぇ、キスして?

しばらくは二人とも無言のままその桜を見上げていたけれど……


彼が声をかけてきた。



『一年生?』


『えっ、はい』



何でわかったんだろうと聞いてみると



『なんか、初々しい感じがした』



そう言って微笑んだ彼の表情に、あたしの心臓はまた反応する。


そして、そのままどきどきと持続的に鳴り続けるのを感じて、あたしはこの人に一目惚れしたんだなと気付いた。


彼はこの四月から大学三年になったばかりで、いつも一人でいることが多かった。


それなりに女の子からは人気があったみたいだけれど、全く興味がないのか、いつもさらりと交わしていた。


だから、あたしも時々話したり、時々一緒にランチしたり……


ただそれだけでいいと思った。


だけど……