再会を約束した男を探すため訪れたアジア有数の貿易都市で、ミサトはもう一人の男と出会った。

 老人の店で初めて会ったその男は、無愛想で無口なヤツだった。

 そこでの一件が済んでから、もう一年の時間が過ぎてい る。

 これまでに手繰り寄せた糸は、もう少しで真実に届きそうな気がして。

 ミサトの気迫に押され、銃を突き付けられた男は、震える声で何かを喋る。

 それを聞き、やっぱりねと呟いて、ミサトは建物を後にする。

 組織の教えその三『適切な状況判断』。

 パトカーのサイレンが遠くから聞こえて来て、身を隠すように狭い路地へと歩を進めて。

 最近入手する情報は、どれもみな同じようなモノばかりだった。

 もうそろそろ、こちらから仕掛けるのにいい時期に来ているのかもしれない。

 目的に向かって、本格的に動き出す時期に――。