「なんだか大変そうだよね…」

「そうね…やっぱりおじいさまのようにはいかないわ」

「ユイ…」

「たまに思うわ。何で私がこんなことしなきゃならないのか、って」


 ユイは苦笑する。


「…本当は…毎日笑いながら暮らしたかった…大好きな人と」


 その時、ミサトの頭に一枚の写真が浮かんだ。

 レンのアパートでいつか見つけた、3人で肩を組んで笑っているあの写真。


「ね、ねェユイ」

「何?」

「好きな人って…?」

「今はそんなこと考えてる余裕はないわ。多分これからも」


 ユイが言った時、車は組織の本部に到着した。


「しばらく相手できないと思うけど、我慢して?」

「了解しましたァ」


 ミサトはおどけて敬礼する。