「あいつは厄介だな。雑魚だけじゃなかったのかよ」


 ツァンダオと一戦交えたことのあるレンは、苦い表情を浮かべた。


「ね、なんだかあたし、いやな予感がしてきた…」


 ミサトは自分の肩を抱き抱えるようにしながら言う。


「何がだよ、ミサト? お前らしくもない」

「ここが何故今頃マークされることになったのか…ロンの目的が、ただの組織乗っ取りだけなら、前にヤツをユイの組織から追い出してから、一年も時間があくはずがないよ」

「……確かにな」


 少しばかり神妙な面持ちで、レンは頷く。


「…心当たりは、あるわ」


 ユイが、静かに言った。