「言ったでしょ。あたしにとってハク老師は、裏の組織のボスでも何でもない、ただの世話好きなじいさんよ。でも」


 ミサトは少し俯く。


「彼は、あたしの話を何でも聞いてくれる、唯一の安らげる存在だった…」

「そんなじいさんの残した店を、訳のわからん連中に荒らされるのはごめんだ、と?」


 苦笑混じりに、エイジが言った。

 ミサトは頷く。


「ここでじっとしていても、無駄な時間が過ぎるばかりね…」


 腕を組んで壁にもたれ掛かっていたユイも、ゆっくりと体を起こした。


「…結局、こうなるんだよなァ」


 よっこらしょ、と立ち上がるレン。

 今までこのアホ暴走娘を止めてた苦労は何だったんだよ、とかブツブツ言いながら。


「久しぶりに、思いっ切り暴れてやるわ」


 銃を上着の下に隠したホルダーに収め、ミサトはにやりと笑う。


「レディー達は、俺が守ってやるから安心しな」


 タバコの火をもみ消して、エイジも立ち上がる。


「そんなの必要ねェだろ」


 と、レンが小さく呟いた――。