「私は一度、殺された人間よ。その時にたくさんの物を失った…。家族も生活も、愛する人さえも。でも唯一残ったのがあの子なのよ。しかもあの子には、私が背負うべき物を全て押しつけてしまった。その償いが出来るのなら、彼を今ここで殺してもいいのよ」


 母親として、何ができるのか。

 娘の幸せを願うなら。

 エイジに飲ませた薬は、まだその効力を失ってはいない。


「終わらせるしかないの…もう、時間がないわ。せめて滞りなく“計画”が進むように、私は出来る限りのことをしたい」


 プライドも。

 そんなものはもう、何の意味も持たない。

 色々なしがらみを、断ち切るために――。