「あいつはそんな簡単に捕まったりしねェよ。それに、そんなことしなくても、ヤツはここに来る」

「………」

「アンタの目的が何か知らねェけどな、俺たちは俺たちのやりてェようにやるんだ。自分の意志でな」


 インホアは黙ったままだった。

 相変わらず、その真意はつかめないまま。

 エイジは軽くため息をついた。

 インホアは、そのままリビングを出ていってしまう。


「それにしても」


 エイジは、ごそごそと腰を動かす。

 今履いているズボンのベルトが、どうも緩んでいる気がする。

 まさか、自分が寝ている間に、違う意味で襲われたりしてねェだろうな、と、不安になる。


「ったく…どうすりゃいいってんだよ」


 この訳の分からない状況から、一刻も早く抜け出したいが…。

 このままここを立ち去っていいのかどうか、疑問に思う。

 エイジはもう暫く、様子を見ることにした。