「…てか、ホントに来るのかよ…」


 何にしろ、手持ち無沙汰だった。


「組織の教え、その一。常に冷静であれ」


 エイジがあんなことを言うものだから、思わず口を突いて出てくる。


「その二。疑わしきは、例えどんなに小さくても潰す」


 ここまで来て、まだ。

 組織から完璧に抜けきれない自分がいる。

 それは、相棒であるエイジにも同じことが言えるのだろう。


「その三」

「適切な状況判断…よね」


 不意に、そんな声が聞こえる。

 聞き間違えることのあるはずがないその声に、レンはふと、口元を緩ませた。


「…よぉ。思ったより早かったな」

「そう? でもまさかレンがいるなんて思ってなかったわ」


 カウンターの、レンの隣に座ってミサトは言った。