閉まった扉を見つめて、レンはぽりぽりと頭を掻いた。

 みんなが平和に暮らす。

 改めて思ってみると、おかしくてたまらない。

 こんな自分に平和な日々が訪れるとは、到底考えられなかった。

 だが、過去に決着をつけるべく、今という時間が、ゆっくりと動き始めてしまった。

 そのしがらみを断ち切るには――…。


「生きていられるかどうかも、定かじゃねェな…」


 命をかけても。

 それでも、成し遂げなければならないこと。

 もう、とっくの昔に覚悟は出来ている。

 レンは、真っすぐに前を見つめた――。