「遠慮しとくわ。あたし、この店を壊しにきたの」


 屈託のない笑顔をインホアに向けて、ミサトはそう言い放つ。


「そうなの…残念だわ、父の“夢”だったこのお店を、あなたに壊されてしまうなんて」

「あたしだから、壊していいのよ」


 お互いに視線は外さない。

 だから、ミサトには少しの目の動きも判ってしまう。


「…!?」


 反射的に身を翻す。

 舞い上がった髪の毛が、何本か宙に舞った。

 続け様に何発か銃弾が撃ち込まれ、ミサトはその場を飛び退いた。

 地面を転がりながら、ホルダーから銃を引き抜く。


「ツァンダオ…!!」


 何発か引き金を引き、ミサトは物陰に身を隠す。


「初めはね、殺さないでいようと思ったのよ?」


 薄笑いしているような、インホアの口調。

 まるで、今の状況を楽しんでいるようだった。