「……うっ…」


 鎖は虚しく音を立てるだけで。

 まるで逃れられない運命を暗示してるかのように、ガチャガチャ、ガチャガチャと。


「…っう…う…」


 この部屋のような闇の中。

 出口はこんなに近くにあるのに。

 思い浮かぶのは、笑顔。

 あの時のように、みんなで笑って。

 笑顔を作るのに、こんなに努力が必要だとは思わなかった。

 ――大好きな人と、一緒に。

 ただそれだけの事なのに。