そろそろ、そんな時期に差し掛かっているのかも知れない。

 この手紙の短い印字の中に、どれだけの意味が含まれているか。

 そのことはもう、エイジも十分に理解しているはず。

 だからなおさら、言葉はいらなかった。


「…出発は?」


 レンは聞く。

 新しいタバコに火をつけて、エイジはウインクを投げてよこす。


「今すぐだ」


 ようやく動ける。

 どんなことでも、自分から動かなければ何も生まれない。

 過去のしがらみから開放されるためには。


「そろそろ決着、つけるとしますかねェ…」


 二人は、三日ぶりにアパートを後にした。