「それをテメェは、何のん気にかまえてるんだよ?」


 もちろん、そんなことを言っても何も変わらないのは、長年の付き合いから解り切ったことなのだが。

 案の定、エイジはゆっくりとタバコをふかしていて。


「だから言ったろ。俺達はドラブルに巻き込まれる才能がある、ってよ」


 そう言ってエイジはソファから立ち上がり、両手をポケットに入れたままつかつかと玄関のほうへ歩み寄った。

 同時に、ドアがノックされる。


「…押し売りならお断りだぜ」

「郵便です」


 ドアの外からそんな声が聞こえて、隙間から一通の封筒が差し出された。

 ドアの向こうの気配は、そのまま消える。


「……ほらな。トラブルの原因だ」


 封筒を手に取りひらひらと見せながら、エイジはレンを振り返る。

 大体、このアパートに郵便物が来る事自体、おかしいことなのだ。