時雨だけは…


今までのやつと、なんか違った。
こいつは、俺の中で
『特別』
なんだ。


「翔怜の好きな所かぁ…」

しばらく考えた後、こう言った。


「分かんない」

笑顔でそういう時雨に、
俺は、もう何も言わなかった。


「愁夜は、好きな人いないの?」


「…。俺はっ」


ごぉぉおぉぉ


ものすごい風と、
激しく回るプロペラの音。


「翔怜の家のヘリコプターだ!!」



ゆっくりとハシゴが下りてきて、
俺たちはそれに掴まった。