恋とくまとばんそうこう



日に日に黒くなっていく肌とか。

日に日に坊主が似合う凛々しい顔付きになっていくところだとか。

教室でうたた寝する後ろ姿だとか。

たまたま拾ってくれたものを差し出す時の豆だらけな手だとか。

グラウンドでの、決してだらけないまっすぐな姿勢だとか。


『…滝井だけど。』

あのポーカーフェイスのままのセリフが頭から離れない。

あの、自分が逃げた時の、ポカンというか、あっけにとられたような真顔。

…恥ずかしい。

ほんとは後ろの席にいるのも恥ずかしかった。

クラスが離れてホッとしたのと、それとあのいわれようのない寂しさ。


…後悔にも近い寂しさ。


なんで自分から少しでも話しかけなかったんだろうな、と思う。

チキン過ぎる自分に、澄香は自然とうなだれた。