「うわわわわわっ!」
意外な血液の多さに勝手に澄香は後ろで慌てる。
とっさに自分のカバンを漁り、ばんそうこうを取り出そうとした。
その間にも耳の後ろから首にかけて血は流れる。
うわっこのままじゃ白い襟に血が…!
血は一度つくと中々取れないのに!
男の子なんか絶対すぐに水洗いなんかしなさそう…とかどうでも良いことを思いながら、澄香はほとんど条件反射でティッシュをバシンっと前の席の人に擦り付けていた。
いきなり後ろから頭をティッシュで拭かれて、さすがの彼もビクッと肩を揺する。
クルリと振り返った怪訝な顔に、今度は澄香がビクッと肩を揺すった。
「ごごごめん!…でも血が…っ」
初めて合った、吸い込まれそうな引力のある瞳。
綺麗な顔立ちは確かに剃りたての坊主にミスマッチだ。


