「俺さ、自惚れてたんだ。」
「…?」
「その、ほぼ毎日聞こえてたから。」
「……。」
「だから、いつも無意識に受け身になってて。」
「…。」
「クリスマスとか、バレンタインだとか、勝手に意識して、期待して…完璧にほんと受け身で。気が付いたら二年になってクラス離れるし…。」
まくしたてる彼が何を言わんとしているのか。
澄香は彼の珍しく良く動く口元ばかりに目が言って。
一瞬、フッと冷静に戻った頭が、澄香をパニックの渦に叩き込む。
“毎日聞こえて”
“胡桃の声が大きい”
「…………………。」
あ。
澄香は固まった。


