恋とくまとばんそうこう



…久しぶりに尻餅なんてついたと思う。

「…痛たっ…っ」

太ももから地面がひんやりしているのを感じた。

低い視界からふと視線を上げて、澄香は瞬きを忘れる。



…本当にこの人、夕焼けが似合うな。

ほんの一瞬の事なのだろうけれど、ひらりと舞った楽譜が止まって見えた。

滝井くんのあの目と見つめ合っている間、澄香は本当に息が出来なかった。

「千葉っ⁈…悪い。」

「…っ、えっ、あ、大丈夫。」

スッと出された手を反射的に握ってしまってハッとする。

失敗したと思った。


だって、この異常な脈が伝わってしまうから。